台東区ぶらり散歩|子規庵向かいにある書道博物館に行ってみた。

♯こちら台東企画研究所の大塚です。

徒歩三分の子規庵に続いて、そのお向かいにある徒歩三分の書道博物館に行ってまいりました。


やっぱり男の子(アラサー)はモアパワーを求めてしまうものです。

子規庵でコピーライト力を磨いた次は、タイポグラフィ力を求めて書道博物館へ到着です。



さっそく入館前から筆文字が走っています。

なんというマイルドな事前告知、館内写真撮影NGでした。



「お庭は撮影しても大丈夫ですよ」と言われたので、庭の写真を撮ってきました。

中の様子を私の拙い文章でお伝えすると、太古の趣きがすごい(本当に拙い)。



石碑・刻石に始まり、紀元前ごろの書物と思われる代物がジャンジャカと展示されています。

今は21世紀ですが、紀元前の頃は当然ながら紙で保存された書物などなく、大抵が石に文字を彫ったものがメインです。

甲骨文も見ることが出来ます。亀の甲羅とか牛の骨に文字を彫ったもののことです。

手ごろな写真がなかったため、白川フォントを使って簡単なイメージをご用意しました。

白川フォントとは立命館大学 白川静記念 東洋文字文化研究所が、長年の研究と解読を経て、甲骨文などをフォント化し、フリーフォントとして配布されています。

この文字は甲骨文の「文」です。

現在から3000年ほど前の字形になります。



2500年前の金文になると、急にエヴァンゲ○オン感がでてきました。



2200年前になると、篆文(てんぶん)が浸透してきます。判子に用いられているため、現代でもいくらかなじみのある文字でしょう。

篆書体フォントはいくらかバリエーションがあります。主に判子作成などの用途で用いられているためです。


そういえば日本のパスポートの文字も篆文ですね。

ここまで来ると大体雰囲気で読めてきます。




二階にあがると王羲之の「蘭亭序」が拝めます。

(角新行書を使って「蘭亭序」を再現してみました)


ミーハーな私はここで無駄にテンションがあがりました。「蘭亭序」といいますと知る人ぞ知る書の最高峰なんだそうで、かくいう私も高校生のころ書道の時間で、臨書(真似て書くこと)したことがあります。

ちなみに、書道博物館に展示してあるのは後世の複製品です。

それもそのはず、真筆は中国の動乱の中で全て失われてしまったのだとか。

この蘭亭序ですが、永和9年、西暦でいうと353年に書かれたもので、王羲之が別荘に41人の名士を招き、お酒を飲んだり、歌を詠みながら書かれたものとされています。

ちなみに漢詩としてもロマンあふれる傑作で、ざっくり意訳するとこんな感じです。




41人がこの日に宴を行い、自然の美しさや、宇宙の大きさを仰ぎ見て、生命の素晴らしさについて考えました。

何に美点を感ずるかは各々により様々ですが、誰かと共有できたときの喜びは計り知れません。

しかし、その喜びも時を取るにつれて刻々と変化し、ついには過去のこととして、何も感じなくなります。

そうした喜びの変遷は、人の死生にも似て、大きな問題です。

私はいかなる文を書するときも、この問題を悲嘆せずにはいられませんでした。

しかし『大昔の人々がかつて感動したもの』と同じものを見て、私たちは同じように感動することができます。

そうした心の在りようは、まるで割符合わせに似ています。

世の中がどれほど変容しようとも、心の根源にあるものは一つに繋がっているようです。

この書を見てくれる後世の人々が、この文に何かを感じてくれるよう信じています。




ちなみにこの時代、書体という概念がまだまだ未成熟でした。

王羲之の時代から、一気に各書体が整備されてきます。

書聖と称えられるだけあり、書道のパイオニア的存在だったわけです


このとき、行書、隷書、楷書はとくに顕著に進化しました。



ところでこの建物、著名な画家であり、書家であった中村不折(なかむら ふせつ)の旧宅だったそうです。

中村不折というと「お宝な○でも鑑定団」で作品が取り扱われることも多いので、よく見ている人なら知っていることでしょう。かくいう私も知っていました。

書家としても画家としてもマルチに活躍していた中村不折。

夏目漱石の名著「我輩は猫である」の挿絵を描いた人としても有名です。

書道博物館のパンフレットにも「我輩は猫である」の挿絵が使われています。

ちなみにイメージが先行しすぎてGoogleで中村不折を検索すると「中村不折 我輩は猫である」と予測表示されてたりします。

知らない人が見ると「中村不折って猫なのかしら」と思ってしまいますが、銅像を見る限り猫要素皆無の立派な御仁です。

庭先はやはり綺麗です。侘び寂びを感じます。

この書道博物館、9/27までリニューアル休館となっています。

私が撮影したのはリニューアル前の書道博物館だったわけです。

この記事を読んで「書道博物館に行きたい!」と思った方が、もしいらっしゃいましたら、9/27までお待ちくださいませ。

こちら台東企画研究所の大塚でした。

大塚(DIP)

印刷物やWEBサイトの制作ディレクターをしています。
新潟生まれ、台東区根岸が勤務先、住まいが入谷。東京にきたのに一週間に一度も電車に乗らない週がほとんど。